「消防設備点検、もう少し安くならないのか」
管理組合の理事会やテナントビルのオーナー会議で出てくる話題だ。消防設備点検は法律で義務づけられた支出でやめられないが、頼み方を変えれば費用を抑えられる余地はある。ここでは、点検業者が公開している料金表の例とあわせて、5つの方法を紹介する。どれだけ下がるかは建物と業者で違うので、同じ条件の見積もりで確かめてほしい。
方法1: 同じ条件で相見積もりを取る
点検業者が公開している料金を見ると、同じような規模の建物でも金額の幅が大きい(費用相場一覧に、建物タイプ・規模別の公開料金の例を出典つきで載せている)。今の金額が高いか安いかは、同じ条件で2〜3社の見積もりを取ってはじめてわかる。
相見積もりの取り方
- 2〜3社に依頼する: 登録会員名簿や見積もりサービスで候補を出す
- 同じ条件で依頼する: 建物の図面、設備の一覧、前回の点検報告書を全社に渡す
- 内訳を出してもらう: 「一式○○円」ではなく、基本料金・設備ごとの金額・報告書の作成と提出代行・出張費を分けてもらう
- 安い見積もりは範囲を確かめる: 全階・全設備が対象か、報告書の作成と提出が入っているかを聞く
設備ごとの単価を公開している業者もある。たとえば沖消防建設は、消火器の点検1本770円、煙感知器1個1,320円(いずれも税込)と表示している。単価がわかれば、見積書の金額がどの設備から来ているかを読み取れる。
方法2: 年間契約と単発の料金を比べる
6か月ごとの機器点検と1年ごとの総合点検を、年間契約でまとめて頼むか、単発(スポット)で頼むかで料金を分けている業者がある。
たとえば日消システムズは、約1,700㎡・20戸のマンションの例で、年間契約(法定点検)を機器点検40,000円+総合点検45,000円+消防署への提出5,000円、スポット点検を総合点検60,000円+提出5,000円と表示している(税の表示なし、交通費・諸経費は別)。この例では、年間契約の総合点検はスポットより1回あたり15,000円低い。
年間契約を結ぶときは、契約期間、途中解約と価格改定の条件、報告書の作成と提出の範囲を契約書で確かめる。範囲の決め方は消防点検を年間契約で任せる方法にまとめた。
方法3: 管理会社経由と直接発注を総額で比べる
マンションやテナントビルで管理会社が点検業者を手配している場合、管理会社の手数料が料金に乗っていることがある。どれだけ乗っているかは契約しだいなので、次の手順で確かめる。
- 管理会社から、実際に点検している業者名と点検の範囲を聞く
- 同じ範囲で、その業者や別の業者に直接見積もりを頼む
- 管理会社経由の金額と比べる
直接発注に切り替えると、日程の調整、入居者への告知、報告書の保管などを自分で担うか、点検業者に別途頼むことになる。管理委託契約に点検の手配が含まれているなら、管理委託費の見直しも必要になる。点検・告知・日程管理・提出代行の範囲をそろえ、手数料を含む総額で比べる。
方法4: 近隣の建物とまとめて依頼する
点検の料金には、建物ごとにかかる基本料金や出張費が含まれていることが多い。たとえばヤマキエンタープライズは、基本料金9,000円に報告書の作成を含め、そのうえに設備ごとの料金を加える形で表示している(税別、平日の割引を使う場合の例)。
同じ日に近隣の複数の建物をまとめて点検できれば、基本料金や出張費の扱いを業者と相談できる。
- 同じ管理組合が複数の棟を管理している(団地型のマンションなど)
- 近隣のビルオーナー同士で連携できる(同じ商店街、同じ工業団地など)
- 管理会社が同じ地域の物件を複数管理している
まとめた場合の料金は、見積もりの段階で確かめる。
方法5: 消火器の交換を切り分ける
点検の時期に消火器の交換が必要になったとき、交換を点検業者に頼むか、自分で手配するかで費用が変わることがある。交換を自分で手配する場合は、業者の点検と交換の範囲が重ならないよう、見積もりで交換費を分けてもらう。古い消火器はメーカーのリサイクルの仕組みで回収してもらえる。
点検そのものは、資格者による点検が必要な建物にあたらなければ関係者が自ら行うこともできる。ただし点検基準と点検票に沿って行い、報告する義務は残る。自動火災報知設備の動作試験や、スプリンクラー・屋内消火栓の点検は専門の機器と知識が要るので、業者に任せる。
やってはいけない「節約」
1. 点検の回数を減らす
機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回が定められた周期だ。これを年1回にまとめることはできない。
2. 範囲を確かめずに安い業者に任せる
総務省消防庁は、無資格者が点検していた、全階を点検していなかった、事実と違う報告をしていた、点検の周期を守っていなかった、という事例を示し、点検の実施状況を確認するよう呼びかけている(消防庁リーフレット)。金額だけで選ばず、点検の範囲と担当者の資格を確かめる。
3. 点検自体をやめる
点検結果を報告しないと、消防法第44条第11号の罰則(30万円以下の罰金または拘留)の対象になる。詳しくは罰則にまとめた。
よくある質問
Q. 相見積もりを取ると、今の業者との関係が悪くなりませんか?
同じ条件で比べるのは、発注する側として普通のことです。今の業者にも同じ条件で見積もりを出してもらい、範囲と金額を比べてください。
Q. 安い業者に変えて品質は大丈夫ですか?
実際に点検する人の資格が設備に合うか、全階・全設備を点検するか、報告書の作成と提出が料金に入るかを確かめてください。点検報告書のサンプルを見せてもらうのも一つの方法です。
Q. 点検費用は経費で落とせますか?
事業用の建物であれば、一般に経費として計上できます。勘定科目の考え方は点検費用の勘定科目と仕訳にまとめています。
建物タイプ・規模別の公開料金の例は費用相場一覧で確認できます。当サイトを運営する株式会社Cravalの見積もり依頼フォームからも見積もりを依頼できます(依頼は無料)。